老後資金はいくら必要?まずは自分の年金見込額を確認しましょう
「老後資金は2,000万円必要」「年金だけでは生活できない」
こうした話を聞くと、自分はいくら準備すればよいのだろうと考えることがあるかもしれません。
しかし、老後に必要なお金は、すべての人が同じではありません。
年金の受取額、退職後の生活費、住宅ローンの有無、働く期間、現在の預貯金などによって変わります。
大切なのは、一般的な必要額に自分を当てはめることではなく、自分が受け取れる年金と、これから希望する暮らしを確認することです。
11月は日本年金機構の「ねんきん月間」、11月30日は「年金の日」です。この機会に、老後のお金について一度整理してみませんか。
老後資金はいくら必要?一律の金額では決められません
例えば、退職後に毎月25万円で生活したいと考えているご家庭でも、年金収入が20万円の場合と15万円の場合では、必要な備えが異なります。
また、住宅ローンを完済している方と、退職後も返済が続く方では、毎月の支出も違います。
老後資金を考える際に確認したいのは、主に次の5つです。
- 自分や配偶者が受け取れる年金
- 退職後に必要な生活費
- 住宅ローン・家賃・住まいの維持費
- 何歳まで働き、いつから年金を受け取るか
- 現在の預貯金や退職金などの資産
最初から正確な必要額を計算する必要はありません。
まずは、収入と支出を大まかに把握することから始めましょう。
自分の年金はいくら?ねんきん定期便とねんきんネットで確認
将来の年金を考えるとき、最初に確認したいのが「ねんきん定期便」です。
ねんきん定期便には、これまでの年金加入記録や年金額などが記載されています。
ただし、50歳未満と50歳以上では、表示される年金額の計算の前提が異なります。
| 年齢 | ねんきん定期便に表示される年金額 |
|---|---|
| 50歳未満 | これまでの加入実績を基に計算した金額 |
| 50歳以上 | 原則として現在の加入条件が60歳まで続くと仮定した見込額 |
例えば、40代の方がねんきん定期便を見て、想像していたより少ない金額だと感じることがあるかもしれません。
しかし、50歳未満の方に表示される金額は、今後も働き続けた場合の最終的な年金見込額とは異なります。
将来の年金額を確認したい場合は、「ねんきんネット」を利用すると便利です。
ねんきんネットで年金見込額を確認する方法
日本年金機構の「ねんきんネット」では、将来受け取る老齢年金の見込額を試算できます。
基本的な手順は次のとおりです。
- 「ねんきんネット」にログインする
- 「将来の年金額を試算する」を選ぶ
- 「かんたん試算」で見込額を確認する
- 必要に応じて「詳細な条件で試算」を利用する
「かんたん試算」は、現在と同じ条件で60歳まで年金制度に加入し続けると仮定した試算です。
「詳細な条件で試算」では、今後の働き方や年金を受け取り始める年齢などを変更できます。
ねんきんネットは、マイナポータルとの連携またはユーザIDの取得によって利用できます。
なお、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」でも、ユーザー登録なしで簡易的な試算ができます。
年金見込額を見るときの3つの注意点
1.試算結果は将来の受取額を保証するものではない
年金見込額は、一定の条件に基づいて計算された金額です。
今後の収入や加入状況、働き方、制度の変更などによって、実際の受取額は変わる可能性があります。
特に、転職や独立、退職時期の変更を考えている方は、現在の条件が続く場合だけでなく、働き方を変えた場合も試算してみるとよいでしょう。
2.年金の額面と手取りは異なる
年金見込額を見る際には、実際に生活費として使える金額との違いにも注意が必要です。
公的年金からは、条件に応じて所得税や住民税、介護保険料、医療保険料などが差し引かれる場合があります。
そのため、年金見込額をそのまま毎月使える金額として計算すると、生活費を多く見積もってしまうことがあります。
実際の控除額は年金額や世帯の状況などによって異なるため、老後の収支を考える際は、手取りの見込みも確認しましょう。
3.夫婦の場合は、それぞれの年金を確認する
夫婦で老後の生活を考える場合は、世帯全体の年金収入を把握することが大切です。
ただし、夫婦それぞれの年金額を確認したうえで、将来の働き方や受給開始時期も考慮する必要があります。
また、二人で生活する期間だけでなく、将来一人で生活する場合の収支も、必要に応じて確認しておくと安心です。
年金だけで足りる?退職後の生活費と比較してみましょう
年金見込額を確認したら、次は退職後の生活費を考えてみましょう。
例えば、次のようなケースを想定します。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 退職後の生活費 | 25万円 |
| 年金の手取り収入(仮定) | 20万円 |
| 毎月の差額 | 5万円 |
毎月5万円の差額が25年間続くと仮定すると、
5万円 × 12か月 × 25年間 = 1,500万円
となります。
ただし、これは単純な計算例です。
物価の変動、医療・介護費、住宅の修繕、資産運用、年金額の変化などは考慮していません。また、年金を受け取り始める前の生活費も別に考える必要があります。
この1,500万円が、すべての方に必要な老後資金という意味ではありません。
まずは、ご自身の数字に置き換えて考えてみましょう。
生活費には「楽しみのお金」も含めて考える
退職後の支出を整理する際は、食費や光熱費などの日常生活費だけでなく、次のようなお金も考えておきたいところです。
- 住宅ローンや家賃、固定資産税、住まいの修繕費
- 医療費や介護に備える予備費
- 車の維持費や買い替え費用
- 旅行、趣味、家族との時間に使いたいお金
老後の生活費を考える目的は、支出をできるだけ減らすことではありません。
どのような暮らしをしたいのかを考え、そのために必要なお金を整理することが大切です。
老後資金が不足しそうな場合は、何から考える?
年金と生活費を比較して差額が見えても、すぐに積立額や金融商品を決める必要はありません。
まずは、選択肢を整理してみましょう。
支出の見直し
現在の生活費や、退職後に変わる支出を確認します。
例えば、住宅ローンの完済や子どもの独立によって減る支出もあれば、医療費や住まいの維持費など、増える可能性のある支出もあります。
生活の満足度を大切にしながら、何を見直せるか考えましょう。
働き方や退職時期の検討
退職後も働く場合、給与などの収入が生活費を補うことがあります。
また、退職時期によって、年金を受け取るまでに必要な資金や、将来の年金額が変わる可能性もあります。
ただし、働き続けることを前提にしすぎず、健康状態や希望する生活とのバランスを考えることも大切です。
貯蓄・資産形成の検討
現在の預貯金や退職金、保有している金融資産などを整理します。
必要な時期まで時間がある資金については、NISAなどを活用した資産形成も選択肢になります。
一方、近いうちに使う予定のお金や生活に必要な予備費は、預貯金などで確保しておくことが重要です。
どの方法が適しているかは、資産状況や運用できる期間、価格変動への考え方によって異なります。
よくある質問
Q.老後資金は2,000万円あれば足りますか?
一律には判断できません。
年金収入、生活費、住宅費、現在の資産などによって必要な金額は変わります。まずは自分の年金見込額と、退職後の生活費を比較してみましょう。
Q.40代でも年金見込額を確認できますか?
はい。ねんきんネットでは、将来の年金額を試算できます。
50歳未満のねんきん定期便には、これまでの加入実績に基づく金額が表示されるため、今後も働く場合の見込額を知りたい方は、ねんきんネットなどで試算するとよいでしょう。
Q.年金見込額が少なかったら、すぐにNISAを始めるべきですか?
必ずしもそうではありません。
まずは生活費、住宅費、働く期間、現在の資産を確認し、どのくらいの備えが必要なのかを整理することが先です。
そのうえで、貯蓄や資産形成などの方法を検討しましょう。
まとめ|まずは自分の年金見込額を確認することから
老後資金は、一律に「いくら必要」と決められるものではありません。
自分が受け取れる年金、退職後の生活費、住まい、働き方、現在の資産などによって、必要な準備は変わります。
11月の「ねんきん月間」をきっかけに、まずはねんきん定期便やねんきんネットで、ご自身の年金見込額を確認してみてはいかがでしょうか。
そのうえで、どのような暮らしをしたいのか、毎月いくら必要になりそうかを考えてみましょう。
将来のお金を考えることは、不足額を探すためだけではありません。
これからの人生で実現したいことを、安心して選べるようにするための準備でもあります。
関連情報|住宅費や預貯金も合わせて確認しましょう
老後資金を考える際には、年金だけでなく、住宅ローンや手元の預貯金も重要です。
住宅ローンの返済と資産形成のバランスについては、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 住宅ローンは繰上返済するべき?NISAを優先するべき?FPが判断基準を解説
また、生活費とは別に確保しておきたい預貯金については、こちらで解説しています。
FPSで相談できること|年金・住宅費・資産をまとめて整理
年金見込額が分かっても、「自分の場合、老後資金はいくら必要なのか」まで判断するのは難しいことがあります。
FPSでは、年金見込額だけでなく、退職時期、住宅費、家族の予定、現在の資産などを合わせて整理し、ライフプランとキャッシュフロー表を通じて将来のお金を確認します。
ご相談の際には、次のような資料があると役立ちます。
- ねんきん定期便、またはねんきんネットの試算結果
- 毎月の生活費が分かるもの
- 預貯金や金融資産の残高が分かるもの
- 住宅ローンの返済予定表(利用中の場合)
- 退職金の見込額が分かる資料(ある場合)
最初からすべてそろっていなくても構いません。
横浜市都筑区・センター北での対面相談、オンライン相談に対応しています。
まずは、これからの暮らしとお金を一緒に整理してみませんか。

