住宅ローンの固定金利と変動金利の違いは?金利上昇時代の選び方をFPが解説
住宅ローンを選ぶとき、多くの方が迷うのが、
「固定金利と変動金利、どちらがいい?」
という問題です。
変動金利は一般的に借入時の金利が固定金利より低い一方、将来金利が上昇すれば返済負担が増える可能性があります。
固定金利は返済額を見通しやすい一方、一般的に借入時の金利は変動金利より高くなります。
では、金利が上昇しているときは固定金利を選べばよいのでしょうか。
結論からいうと、「これから金利が上がるか、下がるか」を当てて住宅ローンを選ぶのではなく、金利が上昇した場合でも無理なく返済できるかで考えることが大切です。
この記事では、固定金利と変動金利の違い、金利が決まる仕組み、5年ルール・125%ルール、そして子育て世帯が住宅ローンを選ぶときの考え方をFPの視点から解説します。
結論|固定金利と変動金利は「どちらが得か」だけで選ばない
固定金利と変動金利には、それぞれメリットと注意点があります。
| 固定金利 | 変動金利 | |
|---|---|---|
| 金利 | 一定期間または全期間固定 | 定期的に見直される |
| 借入時の金利 | 一般的に高め | 一般的に低め |
| 金利上昇の影響 | 固定期間中は原則受けない | 受ける可能性がある |
| 返済計画 | 立てやすい | 将来変わる可能性がある |
| 金利低下のメリット | 原則受けにくい | 受けられる場合がある |
一見すると、
変動金利=金利上昇リスクを取る代わりに当初金利が低い
固定金利=一定のコストを負担して金利上昇リスクを抑える
と整理できます。
ただし、住宅ローンは20年、30年、35年と続くことがあります。
現在の金利差だけではなく、家計がどの程度の金利変動に耐えられるかまで考えて選ぶことが重要です。
そもそも固定金利とは?
固定金利とは、一定期間または返済期間全体について適用金利が固定される住宅ローンです。
代表的には、
- 全期間固定金利型
- 固定金利期間選択型
があります。
全期間固定金利型
借入時から完済まで金利が固定されるタイプです。
毎月の返済額を把握しやすいため、長期間の資金計画を立てやすいことが特徴です。
市場金利が上昇しても、原則として借入後の適用金利は変わりません。
固定金利期間選択型
「5年間固定」「10年間固定」など、一定期間だけ金利を固定するタイプです。
固定期間が終了すると、その時点の条件に基づいて金利タイプを選択するなど、契約内容に沿って金利が見直されます。
そのため、「固定金利だから完済まで金利が変わらない」とは限りません。
どこまで固定される住宅ローンなのかを確認する必要があります。
変動金利とは?
変動金利は、市場金利などの変化に応じて適用金利が見直される住宅ローンです。
金融機関によって仕組みは異なりますが、一般的な変動金利型では適用金利が定期的に見直されます。
金利が低下すれば返済負担が軽くなる可能性がある一方、金利が上昇すれば負担が増える可能性があります。
ここで重要なのが、
「金利の見直し」と「毎月返済額の見直し」は同じではない
という点です。
後ほど説明する5年ルールなどが採用されている住宅ローンでは、適用金利が上昇しても毎月返済額がすぐには変わらないことがあります。
固定金利と変動金利では影響を受ける金利が違う
前回の記事で解説した「長期金利」は、住宅ローンにも関係しています。
一般的に、
固定型住宅ローン
→ 長期金利の影響を受けやすい
変動型住宅ローン
→ 短期金利の影響を受けやすい
という違いがあります。
日本銀行が政策金利を変更すると短期の市場金利などに影響し、それが金融機関の貸出金利にも波及します。
一方、固定型住宅ローンは、将来の金利や国債利回りなど長期の市場金利の影響を受けやすくなります。
そのため、
「ニュースで長期金利が上がった」
からといって、
「明日から自分の変動型住宅ローン金利も同じ幅だけ上がる」
というわけではありません。
変動金利の「5年ルール」とは?
変動金利を利用している方が知っておきたいのが、いわゆる5年ルールです。
元利均等返済の変動金利型住宅ローンの一部では、適用金利が変わっても毎月の返済額を5年間変更しない仕組みが採用されています。
例えば毎月10万円を返済している場合、適用金利が上昇しても、5年ルールが適用される住宅ローンなら、原則として一定期間は毎月10万円の返済が続きます。
「それなら金利が上がっても問題ないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。
返済額が変わらなくても「元金が減りにくくなる」
住宅ローンの毎月返済額は、大きく、
元金+利息
で構成されています。
例えば毎月10万円返済していて、
- 元金7万円
- 利息3万円
だったとします。
金利が上昇すると利息部分が増えます。
それでも毎月の返済額が10万円のままであれば、
- 元金5万円
- 利息5万円
というように、返済額の中で利息が占める割合が増える可能性があります。
つまり、
「毎月の返済額が変わっていない=金利上昇の影響を受けていない」
ではありません。
金利が大きく上昇した場合には、元金の返済が予定より進みにくくなることがあります。
「125%ルール」とは?
5年ルールと一緒に説明されることが多いのが125%ルールです。
この仕組みを採用している住宅ローンでは、返済額を見直す際、新しい返済額をそれまでの返済額の125%以内に抑えます。
例えば毎月10万円だった場合、
10万円 × 125%=12万5,000円
となり、次の返済額は最大12万5,000円までとなります。
急激に毎月の返済額が増えることを抑える仕組みです。
ただし、ここにも注意点があります。
5年ルール・125%ルールは「利息を免除する制度」ではない
ここは非常に重要です。
5年ルールや125%ルールは、
金利上昇による負担そのものをなくす制度ではありません。
毎月返済額の急激な上昇を抑える仕組みです。
金利が大きく上昇すると、毎月返済額の中で利息が占める割合が増え、元金が減りにくくなることがあります。
さらに状況によっては、毎月の返済額より利息額が多くなり、支払いきれなかった利息である「未払利息」が発生する可能性もあります。
全国銀行協会も、未払利息が蓄積するとローン残高が減らない状態が続く可能性があると説明しています。
返済額が据え置かれているから安心、とは限らないのです。
すべての変動金利に5年ルール・125%ルールがあるわけではない
もう一つ重要なのが、
5年ルール・125%ルールは、すべての住宅ローンに共通する仕組みではない
ということです。
金融機関や住宅ローン商品、返済方法などによっては採用されていない場合があります。
採用されていない住宅ローンでは、金利の見直しに伴って返済額が変わることがあります。
現在変動金利を利用している方は、
「自分の住宅ローンにも5年ルールがあるはず」
と決めつけず、契約内容や金融機関の説明を確認しておきましょう。
金利が1%上がると返済額はどのくらい変わる?
では、住宅ローン金利が上昇すると、実際の返済額はどの程度変わるのでしょうか。
単純化した例で考えてみます。
借入額4,000万円
返済期間35年
元利均等返済
ボーナス返済なし
とします。
| 金利 | 毎月返済額の目安 | 総返済額の目安 |
|---|---|---|
| 1.0% | 約11.3万円 | 約4,742万円 |
| 1.5% | 約12.2万円 | 約5,144万円 |
| 2.0% | 約13.3万円 | 約5,565万円 |
| 3.0% | 約15.4万円 | 約6,466万円 |
※借入時から同じ金利が35年間続くと仮定した概算です。実際の変動型住宅ローンの返済額の変化を示すものではありません。
1%と2%を比べると、毎月の差は約2万円です。
年間なら約24万円になります。
住宅ローンは金額が大きく期間も長いため、金利が1%違うだけでも家計への影響は小さくありません。
では、固定金利を選んだ方が安全?
固定金利には、将来の金利上昇によって返済額が増えるリスクを抑えられるメリットがあります。
そのため、
「これ以上住宅ローン返済額が増えると困る」
という家庭では、固定金利によって返済額を確定させる意味があります。
一方、固定金利は一般的に変動金利より借入時の金利が高くなります。
もし今後金利が大きく上昇しなければ、結果として変動金利の方が支払う利息が少なくなる可能性もあります。
固定金利は、
「必ず得をする金利」ではなく、「将来の金利上昇リスクを抑え、返済額を見通しやすくする金利」
と考えると分かりやすいでしょう。
では、変動金利を選んだ方が得?
こちらも一概にはいえません。
変動金利は一般的に借入時の金利が低いため、金利が低い状態が続けば返済負担を抑えられる可能性があります。
しかし、将来の金利は誰にも正確には分かりません。
そのため、
「変動金利の方が今は安いから」
だけで35年間の住宅ローンを決めるのは慎重に考える必要があります。
大切なのは、
金利が上がった場合でも返済できる余裕があるか
です。
固定金利が向いているのはどんな人?
例えば、次のような家庭では固定金利を検討する意味があります。
- 毎月の返済額を確定させたい
- 金利上昇による返済額増加を避けたい
- 住宅ローン返済が家計に占める割合が大きい
- 今後教育費などの支出増加が予想される
- 金利の動きを気にしながら生活したくない
特に、現在の返済額でも余裕がそれほど大きくない家庭では、
「変動金利が安いか」より、「上昇した場合に耐えられるか」
を重視した方がよいでしょう。
変動金利が向いているのはどんな人?
一方、例えば次のような場合には、変動金利を検討しやすくなります。
- 金利が上昇しても返済できる余裕がある
- 預貯金などの金融資産に余裕がある
- 借入額が年収に対して大きすぎない
- 金利動向や契約内容を定期的に確認できる
- 必要に応じて繰上返済などを検討できる
ただし、これらに当てはまれば必ず変動金利が適している、という意味ではありません。
子育て世帯は「現在の返済額」だけを見ない
横浜市都筑区・センター北周辺の30〜40代の子育て世帯では、住宅購入と子どもの教育費が重なることも多いでしょう。
例えば現在、
住宅ローン月12万円
を無理なく返済できていたとしても、10年後には子どもの高校・大学進学で教育費が大きく増えているかもしれません。
その時期に住宅ローン金利も上昇していたらどうでしょうか。
住宅ローンだけなら返済できても、
住宅ローン+教育費
になると家計が厳しくなる可能性があります。
そのため住宅ローンを選ぶときは、
「今払えるか」ではなく、「教育費が増える時期でも払えるか」
まで考えることが重要です。
住宅ローン4,000万円なら「金利上昇後」も確認する
変動金利を検討するとき、現在の金利だけで返済計画を作らないことをおすすめします。
例えば、
現在の金利で月11万円台だから大丈夫
ではなく、
金利が1%上昇したら?
2%上昇したら?
という返済額も確認しておきます。
そのうえで、
- 教育費
- 車の買い替え
- 住宅の修繕費
- 老後資金
- NISAなどの資産形成
まで続けられるかを考えます。
このシミュレーションをしておけば、実際に金利が上昇したときにも慌てにくくなります。
金利が上がったら固定金利へ変更すればいい?
変動金利を選ぶ際、
「金利が上がり始めたら固定金利に変えればいい」
と考える方もいます。
ただし、注意が必要です。
固定型住宅ローンの金利と変動型住宅ローンの金利では、影響を受ける市場金利が異なります。
そのため、
変動金利が上がってから固定金利へ変更しようとしたときには、固定金利がすでに上昇している
可能性があります。
「上がったら変更すればいい」と簡単に考えるのではなく、最初から複数の金利シナリオを考えておくことが大切です。
すでに変動金利で借りている人はどうする?
最近の金利上昇を見て、
「変動金利から固定金利に変えた方がいいのでは?」
と不安になっている方もいるでしょう。
しかし、金利が上昇したという理由だけで、すぐに変更する必要があるとは限りません。
まず確認したいのは、
- 現在の適用金利
- 金利の見直し時期
- 5年ルール・125%ルールの有無
- 住宅ローン残高
- 残りの返済期間
- 固定金利へ変更した場合の金利
- 手元の預貯金
- 今後の教育費などの支出
です。
そのうえで、
今のまま変動金利を続ける
固定金利へ変更する
一部繰上返済する
手元資金を確保して金利上昇に備える
などを比較します。
「金利が上がったから繰上返済」という一つの答えだけではありません。
よくある質問
Q. 変動金利は半年ごとに返済額が変わるのですか?
必ずしもそうではありません。
一般的な変動型住宅ローンでは金利が定期的に見直されますが、5年ルールを採用している場合、適用金利が変わっても毎月返済額は一定期間変わりません。
ただし、すべての住宅ローンに5年ルールがあるわけではないため、契約内容を確認する必要があります。
Q. 5年ルールがあれば金利が上がっても安心ですか?
返済額の急激な増加を抑える効果はありますが、金利上昇による負担そのものがなくなるわけではありません。
返済額に占める利息の割合が増え、元金が減りにくくなる可能性があります。
Q. 金利が上がったら繰上返済した方がいいですか?
一概にはいえません。
繰上返済によって利息負担を減らせる一方、手元の預貯金も減ります。
生活防衛資金、教育費、住宅ローン控除、資産形成などを含めて判断する必要があります。
まとめ|「どちらの金利が低いか」より「金利が上がっても払えるか」
固定金利と変動金利には、それぞれメリットと注意点があります。
固定金利は、返済額を見通しやすく、金利上昇リスクを抑えられることが大きな特徴です。
変動金利は一般的に借入時の金利が低い一方、将来の金利上昇によって返済負担が増える可能性があります。
住宅ローンを選ぶときに重要なのは、
「これから金利が上がるか?」を予想することではありません。
金利が上昇した場合でも、教育費や老後資金の準備を続けながら無理なく返済できるか
を確認することです。
住宅ローンは30年以上続くこともあります。
現在の金利だけではなく、これからの家族の暮らしまで含めて考えてみましょう。
住宅ローンだけでなく、将来のお金をまとめて考える
住宅ローンを考えていると、
「固定と変動のどちらがいい?」
「繰上返済した方がいい?」
「NISAも続けて大丈夫?」
「子どもの教育費はいくら残せばいい?」
と、次々に疑問が出てきます。
これらは別々の問題に見えますが、すべて同じ家計のお金です。
FPSでは、住宅ローンだけを見るのではなく、現在の収支や預貯金、教育費、資産形成、老後資金などを整理し、ご家庭ごとの優先順位を一緒に考えています。
住宅ローンの金利タイプを決める前に、まずは**「将来のお金を、納得できる形に整理する」**ことから考えてみてはいかがでしょうか。


