住宅購入はいくらまでなら大丈夫?年収だけでは決められない予算の考え方
住宅を購入しようと考えたとき、最初に気になるのは「自分たちはいくらの家を買えるのだろう?」ということではないでしょうか。
住宅ローンの借入可能額を調べたり、不動産会社から予算を提案されたりすると、購入できる住宅の価格が具体的に見えてきます。
一方で、「この金額を借りて、子どもの教育費や老後の準備もできるのだろうか」「今は共働きだけれど、将来も同じ収入が続くとは限らない」と感じる方もいるかもしれません。
住宅購入で大切なのは、いくら借りられるかだけでなく、購入後も希望する暮らしを続けられるかという視点です。
この記事では、住宅ローンの借入可能額と無理のない購入予算の違いを整理し、家族に合った住宅予算を考える方法を解説します。
住宅ローンの借入可能額と、無理なく返せる金額は違う
住宅ローンの審査では、年収や勤務状況、ほかの借入れ、返済負担率など、さまざまな条件が確認されます。
ここで知っておきたいのが、金融機関が融資できると判断する金額と、その家庭が無理なく返済できる金額は、必ずしも一致しないということです。
例えば、年収が同じ800万円の家庭でも、暮らし方によって住宅に使えるお金は変わります。
- 子どもが2人いて、これから教育費が増える家庭
- 子どもが独立し、教育費の負担が少なくなった家庭
- 共働きを続ける予定の家庭
- 将来、どちらかが働き方を変えたいと考えている家庭
年収が同じでも、住宅購入後に必要なお金や将来の希望は異なります。
そのため、「年収の何倍までなら大丈夫」という目安だけで購入予算を決めるのは適切ではありません。
年収倍率は物件価格を考える参考にはなりますが、家族ごとの返済余力を判断するものではないからです。
4,000万円と5,000万円の住宅ローンでは、毎月いくら違う?
購入予算を考える第一歩として、借入額によって毎月の返済がどのくらい変わるのか確認してみましょう。
次の表は、金利を年1.5%、返済期間を35年、元利均等返済、ボーナス返済なしと仮定した試算です。
| 借入額 | 毎月の返済額 | 35年間の返済総額 |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 約9.2万円 | 約3,858万円 |
| 4,000万円 | 約12.2万円 | 約5,144万円 |
| 5,000万円 | 約15.3万円 | 約6,430万円 |
| 6,000万円 | 約18.4万円 | 約7,716万円 |
※概算です。金利が35年間変わらないと仮定しており、諸費用・税金・保険料などは含みません。実際の返済額は借入条件によって異なります。
4,000万円と5,000万円では、毎月の返済額に約3.1万円の差があります。
毎月3万円程度なら、今の収入では問題ないと感じるかもしれません。
しかし、住宅ローンを35年間返済する場合、その差は長期間続きます。
その間には、子どもの進学、転職、育児や介護による働き方の変化など、家計に影響する出来事があるかもしれません。
購入時点で支払える金額ではなく、将来の生活が変化しても対応できる金額かどうかを考える必要があります。
住宅購入後に必要なお金は、ローン返済だけではない
住宅の予算を考えるとき、毎月の住宅ローン返済額に目が向きがちです。
しかし、持ち家にはローン以外にも費用がかかります。
マンションの場合
住宅ローンの返済に加えて、一般的に次のような支出があります。
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場・駐輪場代
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険・地震保険
- 専有部分の設備交換やリフォーム費用
例えば、毎月のローン返済が12万円でも、管理費と修繕積立金が合計3万円、駐車場代が1万円なら、それだけで月16万円です。
さらに、固定資産税や保険料なども必要です。
修繕積立金は、将来の修繕計画に応じて増額されることもあります。
戸建ての場合
戸建てでは、マンションのような毎月の修繕積立金がないケースが一般的です。
ただし、修繕費が不要という意味ではありません。
屋根や外壁、給湯器、水回りなどは、経年劣化に応じて修繕や交換が必要になります。
そのため、将来の修繕費を自分たちで準備しておくことが大切です。
住宅予算は、ローン返済額だけでなく、住宅に関係する支出全体で考える必要があります。
共働き世帯は「今の世帯年収」が続く前提で考えない
共働きの家庭では、夫婦の収入を合算することで、住宅ローンの借入可能額が増える場合があります。
その結果、希望するエリアや広さの住宅を選びやすくなることもあるでしょう。
ただし、購入後も現在の世帯年収が続くとは限りません。
例えば、次のような変化が考えられます。
- 出産や育児を機に勤務時間を短縮する
- 転職によって収入が一時的に減少する
- 子どもの成長に合わせて働き方を変える
- 家族の介護が必要になる
- 体調などの理由で働けない期間が生じる
もちろん、収入が増える可能性もあります。
大切なのは、収入が減ることを過度に心配することではなく、家族が希望する働き方を選べる余地を残しておくことです。
例えば、「子どもが小学校に入るまでは時短勤務を続けたい」と考えているなら、その期間の収入を反映して住宅予算を確認する方が、実際の生活に合った判断ができます。
住宅購入のために働き方を無理に固定するのではなく、希望する暮らしに住宅予算を合わせるという考え方です。
教育費と住宅ローンの負担が重なる時期に注意
子育て世帯の住宅購入では、教育費との関係も重要です。
子どもが小さいうちは、教育費の負担が比較的少なく、住宅ローンを返済する余裕があると感じることもあります。
しかし、子どもの成長に伴い、習い事、塾、進学などに必要なお金が変わっていきます。
特に、大学進学などでまとまった教育費が必要になる時期と、住宅ローンの返済が重なる場合があります。
ここで考えたいのは、教育費の平均額だけではありません。
例えば、
「公立中心で考えているけれど、子どもが私立を希望したらどうしたいか」
「大学進学時には、どの程度の資金を用意しておきたいか」
「教育費が増える時期にも、住宅ローンを無理なく返せるか」
といった家族の希望です。
教育費の準備に正解が一つあるわけではありません。
だからこそ、住宅購入を考える段階で、教育費が増える時期を確認しておくことが役立ちます。
頭金は多い方がいい?預貯金を減らしすぎないことも大切
住宅購入では、頭金を多く入れるほど住宅ローンの借入額を減らせます。
借入額が少なくなれば、一般的には毎月の返済額や支払利息も抑えられます。
一方で、頭金に預貯金を使いすぎると、購入後の家計に余裕がなくなる可能性があります。
住宅購入時には、物件価格以外にも登記費用、融資関連費用、仲介手数料(必要な場合)、引っ越し費用、家具・家電の購入費用などが発生します。
さらに、購入後も急な支出に対応できる資金を残しておきたいところです。
頭金を考える際は、次の3つを分けて整理するとわかりやすくなります。
- 住宅購入時に必要なお金
- 購入後の生活のために残しておくお金
- 将来の教育費や老後などに向けて準備するお金
頭金を増やすことだけを目的にせず、購入後の生活も含めて判断することが大切です。
金利が上がった場合も確認しておく
住宅ローンの返済額は、借入額だけでなく金利によっても変わります。
特に変動金利を選ぶ場合は、将来金利が上昇したときの影響を確認しておく必要があります。
例えば、4,000万円を35年間、元利均等返済で借りた場合、当初から次の金利が35年間続くと仮定すると、返済額は以下のようになります。
| 金利 | 毎月の返済額 |
|---|---|
| 年1.0% | 約11.3万円 |
| 年1.5% | 約12.2万円 |
| 年2.0% | 約13.3万円 |
| 年3.0% | 約15.4万円 |
※いずれも借入時から金利が一定の場合の比較です。変動金利が返済途中で上昇した場合の実際の返済額を示すものではありません。金利変更時の残高・残存期間・契約条件によって異なります。
金利1.0%と3.0%では、毎月の返済額に約4万円の差があります。
ただし、変動金利には金融機関や商品によって返済額の見直しルールがあり、金利が上がっても毎月の返済額が直ちに同じ割合で増えるとは限りません。
返済額の上昇が抑えられても、元金の減り方が遅くなるなどの影響が生じる場合があります。
金利が今後どう動くかを正確に予測することはできません。
だからこそ、金利上昇を予言するのではなく、金利が変わった場合に家計がどこまで対応できるかを確認しておくことが重要です。
無理のない住宅購入予算は、ライフプランから考える
ここまで、住宅ローンの返済額、維持費、働き方、教育費、頭金、金利について確認してきました。
では、実際に自分たちに合った住宅購入予算は、どのように考えればよいのでしょうか。
おすすめしたいのは、住宅価格から考え始めるのではなく、これからの生活に必要なお金から考える方法です。
① 今の家計で住宅に使える金額を確認する
まず、現在の収入と支出を整理します。
ここで重要なのは、今の家賃をそのまま住宅ローンの返済額に置き換えないことです。
持ち家になると、管理費や修繕費、固定資産税など、賃貸とは異なる費用が発生します。
また、現在の家賃を無理なく支払えていても、毎月の収支に余裕がない場合は注意が必要です。
② 将来の大きな支出を確認する
次に、今後の生活でお金が必要になる時期を整理します。
例えば、子どもの進学、車の買い替え、住宅の修繕、退職などです。
金額が正確に決まっていなくても、いつ頃、どのような支出が発生する可能性があるかを確認するだけで、住宅予算を考える材料になります。
③ 希望する暮らしを考える
住宅購入は、家計の数字だけで決めるものではありません。
通勤時間を短くしたい、子どもに部屋を用意したい、家族で旅行を楽しみたい、趣味に使うお金も残したい。
こうした希望も、住宅予算を考えるうえで大切です。
住宅にお金をかけること自体が悪いわけではありません。
家族にとって住まいの優先順位が高いなら、ほかの支出とのバランスを調整する選択肢もあります。
何を大切にしたいかによって、適切な住宅予算は変わります。
④ 将来の家計をシミュレーションする
最後に、現在の収入・支出だけでなく、将来の変化を反映して確認します。
その際に役立つのが、ライフプランに基づくキャッシュフロー表です。
キャッシュフロー表で確認したいこと
- 住宅購入後、毎年の家計収支はどうなるか
- 教育費が増える時期に預貯金はどのくらい残るか
- 夫婦の働き方が変わっても返済を続けられるか
- 金利が上がった場合に対応できるか
- 老後の生活資金を準備できるか
例えば、4,500万円の住宅と5,000万円の住宅で迷っている場合、それぞれの購入後の家計を比較することができます。
どちらも無理なく購入できるかもしれませんし、500万円の差が将来の教育費や老後資金に影響するかもしれません。
大切なのは、住宅価格だけを比較するのではなく、購入後の暮らしまで含めて比較することです。
住宅購入前に確認したい7つのポイント
住宅購入を具体的に検討している方は、次の項目を確認してみてください。
住宅購入前の確認リスト
0 / 7項目住宅ローン以外の維持費も予算に含めている購入時の諸費用と、購入後に残す預貯金を確認している教育費が増える時期を把握している夫婦の働き方が変わった場合も考えている金利が上昇した場合の影響を確認している車の買い替えや住宅修繕などの年間・臨時支出を見込んでいる住宅購入後も続けたい暮らしや将来の希望を整理している
チェックが少なくても、住宅購入を諦める必要はありません。未確認の項目から整理してみましょう。
すべてを完璧に予測することはできません。
ただ、事前に確認しておくことで、購入後に想定外の負担が生じる可能性を減らすことにつながります。
よくある質問
Q. 住宅ローンは年収の何倍までなら安全ですか?
年収倍率だけで安全な借入額を判断することはできません。
同じ年収でも、家族構成、教育費、預貯金、働き方、生活費によって返済できる金額は異なります。
年収倍率は参考情報として使い、実際の購入予算は家計全体から考えることが大切です。
Q. 今の家賃と同じ返済額なら、住宅を購入しても大丈夫ですか?
必ずしもそうとは限りません。
住宅購入後は、ローン返済以外に固定資産税や修繕費などが発生します。
現在の家賃と住宅ローンの返済額だけでなく、住宅にかかる年間費用の総額で比較しましょう。
Q. 住宅ローンはできるだけ早く返済した方がいいですか?
早期返済によって支払利息を減らせる場合があります。
一方で、繰上返済に預貯金を使いすぎると、教育費や急な支出への対応が難しくなる可能性もあります。
住宅ローンの金利、手元資金、将来の支出、住宅ローン控除の適用状況などを踏まえて判断することが大切です。
まとめ|住宅購入の予算は、これからの暮らしから考えよう
住宅購入では、「いくら借りられるか」という数字が一つの目安になります。
しかし、借入可能額がそのまま、その家庭にとって無理のない住宅予算になるわけではありません。
住宅ローンの返済は長期間続き、その間に家族の生活や収入、必要な支出は変化していきます。
だからこそ、購入前に考えておきたいのは、次のことです。
「この家を購入したあとも、自分たちが大切にしたい暮らしを続けられるだろうか?」
希望する住宅を購入することも、子どもの教育や将来の生活に備えることも、どちらも大切な選択です。
住宅購入の予算に迷ったときは、物件価格だけで判断せず、家計全体と将来のライフプランを一度整理してみてはいかがでしょうか。
住宅購入前のライフプラン相談
株式会社エフ・ピー・エス(FPS)では、住宅購入を検討している方に向けて、ライフプランや将来のキャッシュフローを踏まえたご相談を承っています。
住宅ローンの借入額だけでなく、教育費、資産形成、老後資金なども含めて、これからの暮らしに合った資金計画を一緒に考えます。
住宅購入の予算を具体的に決める前に、将来の家計を確認したい方は、お気軽にご相談ください。

